「生産コスト削減」と「生産者所得向上」を
出荷予測ソリューションで同時に実現

JA島原雲仙(島原雲仙農業協同組合)様

  • 導入目的

    雇用の平準化、職員の負荷低減、精度の高い出荷予測の実現

  • 導入前の課題

    出荷時期の人手不足、エクセルでの出荷予測作成による職員の負担集中

  • 導入後の効果

    選果場や生産者含めた雇用の計画化、生産コストの削減と生産者の所得向上

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JA島原雲仙は、温暖な気候に恵まれた地の利を活かし、いちごや馬鈴薯の生産が盛んな長崎県を代表する畑作地帯です。近年はブロッコリーの生産にも注力し、20年間右肩あがりの成長で、年間売上高10億円にものぼります。
JA島原雲仙は令和2年度島原雲仙ブロッコリー生産スマート農業実証コンソーシアムに代表機関として参加。長崎県農林技術開発センターやNTTデータも共同実証機関として参加しました。
本コンソーシアムをきっかけに、その後も「あい作・出荷予測システム」を活用し、労働力の適正化と所得向上に向けスタートを切りました。

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お話しいただいた方

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    長崎県農林技術開発センター
    研究企画部門 研究企画室
    主任研究員 大林 憲吾様

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    JA島原雲仙
    営業部西部基幹営農センター
    営農指導課 主任 田中 慶輔様

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    JA島原雲仙
    ブロッコリー生産者
    本多 一磨様

Q. ブロッコリー出荷予測 実証実験に取り組まれましたが、ブロッコリー栽培においてどんな課題がありましたか。

ブロッコリーの生産量増加に伴ってピーク時の生産者の人手不足が課題に

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⻑崎県では、⾯積を拡⼤してブロッコリーの出荷量増加を⽬指しています。特にJA島原雲仙のブロッコリーは、以前は難しかった氷詰め出荷という⽅法で、周年栽培‧周年出荷ができるようになりました。ただ、以前に比べてブロッコリーの生産量が多くなっている中で、生産者の人手不足が課題でした。生産者は単価の高い時期に集中して出荷をしようとするため、同時期に人を雇おうとして、どうしても取り合いになります。(主任研究員 大林様)

Q. ブロッコリー栽培における課題をどのように解決しようと思いましたか。

出荷予測システムを導⼊し、将来的に予測に基づき定植時期を調整して人の雇用の平準化を⽬指す

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時期により変動する出荷量を平準化することで、⽣産者が⼈を集中して雇⽤せず、⼈の雇⽤も平準化できれば、労働⼒不⾜を解消できると思いました。将来的に予測に基づき定植時期を調整して平準化を⽬指したいと考え、出荷予測システムの導⼊を検討しました。(主任研究員 大林様)

Q. あい作・出荷予測システムを利用してみての感想を教えてください。

あい作・出荷予測システムは、“産地ごと”に出荷予測ができる点が魅力

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JA島原雲仙のように品種が多数あると、品種ごとの出荷予測が難しいです。あい作・出荷予測システムは、”産地ごと”に出荷予測ができるシステムになっていることが⼤きかったです。我々のような試験研究ではできないことです。品種ごとに⽣育予測システムをつくる場合、定植から収穫時期までの⽣育状況を知る必要があり、⾼さや収量を調べ、最後に⽣育式を作って予測に繋げていきます。我々研究員のやり⽅では、⼀作⾒てからしか評価ができず、通常の農業では時間がかかりすぎてしまいます。あい作‧出荷予測システムの、その都度修正していくというやり⽅やスピード感は新鮮で、その必要性を感じました。(主任研究員 大林様)

Q. JA様業務における、あい作・出荷予測システム導入前の課題と、導入の経緯を教えてください。

エクセルによる計算、圃場を見て回っての出荷予測の労力の大きさが課題だった

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今までは生産者から定植調査票を頂き、品種ごとの収穫までの日数を計算式に入れてエクセルで出荷予測を作り、圃場を見て回り、ずれていれば修正するという労力がかなり大きく、課題を感じていました。職員の負荷低減と、精度の⾼い出荷のために、出荷予測システムを導⼊しました。(営農指導課 田中様)

Q. 導入を進める上で苦労された点を教えてください。

多くの部会員をグループごとに分け、操作しながら説明しきったこと

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導入当初、生産者に「あい作・栽培管理システム」をスマホに入れてもらって、操作しながら説明しました。部会会員数が60名以上いたため、5~10人の班に分け、1週間で説明をすることが大変でした。ただ、その後は、もともと4回定植調査票等を提出していただいていたので、出荷予測システムを導⼊するにあたっても、無理なくデータの提供をしていただけています。(営農指導課 田中様)

Q. 導入した効果はどうでしたか?

出荷時期の人員調整や市場への有利販売を実現

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出荷予測システム導入前は1~2か月先の収穫量が把握できず、雇用を減らすことができませんでしたが、出荷予測ができるようになり、出荷量が少ない時は人員を減らすことができています。販売についても、出荷予測システムの予測を市場に提供することで、売り込みのタイミングがわかりやすくなり、農業者の所得向上への寄与も期待しています。(営農指導課 田中様)

Q. (生産者様へ)あい作‧出荷予測システムは、あい作‧栽培管理システムで収集したデータを元に予測をしていますが、⽣産者として栽培管理システムを利⽤して便利になりましたか?

肥料や農薬量の把握、提出物の減少、指導員との連携迅速化など、あい作利用でとても便利に

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圃場の⾯積も登録しているため、10aだから肥料をどれ程使って良いなどが、栽培管理システムによってすぐに分かるので使ってみて便利だなと思いました。他にも、「あと何回農薬が使⽤可能か」や、「この品種はあと100⽇でできる」などが把握できる点に便利さを感じています。また、元々必要な提出物が多かったのですが、種の注⽂や「何の消毒を使ったか」などは栽培管理システムで既に指導員とつながっているので、提出物が減りかなり楽になりました。指導員との連携が圧倒的にあい作の⽅が早いと思います。栽培管理システムを使っていない⼈は情報にあやふやな点が多いのですが、栽培管理システムではすぐにスマホに情報が出てくるので、その場で指導員との確認ができるのは本当に楽です。(生産者 本多様)

Q. ⽣産者として出荷予測システムを利⽤して便利になりましたか?

出荷予測を確認することで収穫適期を逃さなくなった

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以前も圃場を回っていたのですが、行ってみたら大きくなりすぎていて出荷することができず、適期を逃すことが多かったです。出荷予測を確認することで、いつ圃場に入ればよいのかが分かるので、だいぶ作業が減りました。出荷予測により、収穫の適期を逃さなくなりました。(生産者 本多様)

Q. JA様、生産者様、研究員様それぞれの視点で、あい作・出荷予測システムへの期待や、今後の展望をお聞かせください。

出荷予測に基づいた定植時期の調整による産地リレー、そこから出荷量や価格安定へも期待

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<JA様の視点>
出荷予測システムを導入することで、選果場や生産者含めた雇用の計画を立てられますし、契約販売や売り込みができるようになるので、期待しています。(営農指導課 田中様)

<生産者様の視点>
情報確認にかけていた⼿間を規模拡⼤や⽣産率向上、秀品率向上に使いたいと思います。(生産者 本多様)

<研究員様の視点>
価格の平準化はどうしても県内の産地だけでは解決できません。あい作が今後全国の産地で使われるようになり、それぞれの出荷予測に基づいて定植時期を調整をすることができれば、産地リレーをすることで出荷量も安定するし、ひいては価格安定に繋がると思いますので、そういったことが今後できるのではないかと期待しています。(主任研究員 大林様)

 

この記事の内容は2022年6月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

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