日本随一の高原野菜産地が目指すGlobalG.A.P.強化の取り組み

JA長野八ヶ岳(長野八ヶ岳農業協同組合) 様

  • 導入目的

    主要取引先からの要望により始めたGlobalG.A.P.の取り組みを強化して、生産者とJAの両者が効率的に運用できるようにする

  • 導入前の課題

    GlobalG.A.P.で特に重要となる農薬関連の作業履歴を証跡として残すために、多くの時間と労力を割いていた。同時に、JAが行う出荷時の栽培履歴簿チェック業務の効率化が必須だった

  • 導入後の効果

    「あい作」の導入により農薬関連の作業履歴をデータとして効率的に管理できるようになった結果、GlobalG.A.P.認証の審査をスムーズに受けられるようになった。また、栽培履歴簿チェック業務が劇的に効率化された

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誰もが知る日本随一の高原野菜産地であるJA長野八ヶ岳は、八ヶ岳の東麓に広がる標高850~1,500mの地域にあります。ここで栽培される野菜が「太陽に一番近い」と呼ばれる由縁です。管轄する地域は年間平均気温が約8℃と冷涼であり、晴天日が多く降水量は少なく、夏冬と昼夜の気温差が大きい内陸性気候です。こうした特別な環境で育てた野菜がJA長野八ヶ岳の主力ですが、主要取引先からの要望をきっかけにGlobalG.A.P.認証取得への取り組みを始めました。その取り組みを強化するために導入したのが、NTTデータの「あい作 栽培管理ソリューション」です。

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お話しいただいた方

  • 大塚 知一様

    JA長野八ヶ岳
    農業部 企画振興課
    主任 大塚 知一様

  • 井出 亘祐様

    JA長野八ヶ岳
    南牧支所 販売指導課 営農指導員
    井出 亘祐様

  • 佐藤 良樹様

    生産者
    佐藤 良樹様

Q. あい作 栽培管理システムを導入する前の課題や問題について教えてください。

GlobalG.A.P.認証を継続して取得するにあたって、紙ベースの栽培管理が限界を迎えていた

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農薬関連について、生産者はこれまで行っていた紙(OCR用紙)での栽培履歴簿に、「何の農薬を、いつ、何倍で散布したか」しか記載していませんでした。GlobalG.A.P.認証を受けるには、それらに加えて、有効成分名、作業者名、防除対象病害虫名、散布した製品の量、散布時の天気、ドリフト対策、それと防除後のタンクの洗浄についても、記録を求められます。忙しい農作業の合間に、生産者がこれらの項目を漏れなく記録するのは極めて困難です。そのため、紙ベースでの管理は限界だと感じていました。(JA長野八ヶ岳 大塚様)

Q. あい作 栽培管理システムを導入したことで、どんな効果がありましたか?

生産者が記録する項目は今までのまま、GlobalG.A.P.認証を受けるのに必要な情報がほぼすべて自動的に記帳されるようになった

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最も大きな効果は、生産者があい作に入力する記録項目は今までの「何の農薬を、いつ、何倍で散布したか」で変わりないのに、JA側がエクセルデータを出力した際には、GlobalG.A.P.で求められるほぼすべての情報が自動的に記帳されるようになったこと。生産者の負担は増えませんし、JAにとっては自動的に記帳されるから記帳漏れがなく、スムーズに審査を受けることができるようになりました。(JA長野八ヶ岳 大塚様)

Q. 日々の運用において、あい作 栽培管理ソリューションを導入したことで、変化はありましたか?

栽培履歴簿への記入漏れやOCR用紙の読み込みエラーから解放され、栽培履歴の確認時間を大幅に効率化できました

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これまでの紙(OCR用紙)での管理では、記入漏れや読み込みエラーが頻繁に発生しており、そのたびにJA担当者は生産者に電話確認する必要がありました。そのうえ栽培履歴簿は作ごとに提出してもらうので、JA担当者が少しでも作業できない日があると、すぐに辞典くらいの厚さにまで溜まってしまいました。
あい作を導入したことで、記入漏れや読み込みエラーといった単純なエラーからほぼ完全に解放され、栽培履歴の確認時間を大幅に効率化できました。JA側としては、体感的には作業量が半減以下になりました。これはGlobalG.A.P.に取り組んでいない生産者さん、JAさんにとっても、大きなメリットだと思います。(JA長野八ヶ岳 井出様)

Q. GlobalG.A.P.認証を受けるにあたって、特に工夫している点を教えてください。

NTTデータに相談しながら、記録項目等をブラッシュアップすることで、利便性を高めています

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昨年度の審査において、タンク洗浄の記録とドリフト対策の記録という項目について、是正となってしまいました。NTTデータに相談したところ、この2項目をあい作で記録できるようにアップデートされました。その結果、今年度の審査では2項目の是正はなくなり、スムーズに審査を受けることができました。
また、ちょっとした記録を残したり、イレギュラーな場面で使える、"メモ"という機能をあい作に追加してもらうなど、より使いやすい仕様になるようNTTデータと協働しています。
そのうえで、施肥や栽培管理といった農薬以外の栽培履歴については、JA長野八ヶ岳オリジナルのGlobalG.A.P.日誌に記載してもらうことで、万全の体制を敷いています。(JA長野八ヶ岳 大塚様)

Q. あい作を活用した今後の展望や期待していることをお聞かせください。

GlobalG.A.P.認証で取引先の世界的ファストフードチェーンからMVPとして表彰も。次は出荷予測ソリューションの円滑化や、あい作データを活用した経営支援に向けても、NTTデータと協力して行きたい

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当JAでは、2021年3月にGlobalG.A.P.認証強化のために「あい作 栽培管理ソリューション」を導入し、日々の運用から審査に至るまで、目途がたちました。GlobalG.A.P.認証取得を希望して手を上げた生産者は2022年の認証時点で29人でしたが、これだけの大人数で認証を取得したことが評価されて、取引先の世界的ファストフードチェーンM社からMVPとして表彰していただきました。
一方で、あい作を使うことでのメリットを、より生産者に対して提供したいとも考えています。これは、あい作の普及にも直結します。分かりやすいメリットがあれば、あい作の利用者も増える。そうなればJAの業務効率も高まります。例えば、収穫日の自動算出や、過去データから収入見込み金額を算出するなど、あい作を活用することで、収入を見える化したい。現在、あい作の出荷予測ソリューションも導入していますが、こちらは諸般の事情があり、スムーズな運用には至っていません。栽培管理ソリューションで実現したように、こちらも生産者とJAの両者が便利に使える形にしたいです。
将来の希望としては、収入見込み金額から決算まで、あい作でできるようになれば、生産者とJAにとって利便性が飛躍的に高まります。さらに、より具体性をもった経営支援も可能になります。いつかそこまで辿り着けるように、NTTデータと共に歩んでいけたら嬉しいです。(JA長野八ヶ岳 大塚様)

Q. (生産者様へ)あい作 栽培管理ソリューションを導入する前の課題や問題について教えてください。

主要取引先の要望としてGlobalG.A.P.認証取得が必須となり、対応を迫られた

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レタスの主要取引先であるM社から、GlobalG.A.P.認証を取得するように求められたのが、「あい作 栽培管理ソリューション」と出会ったきっかけです。GlobalG.A.P.認証を取得すること自体は良いことですし、取引先は失いたくありません(笑)。地域の生産者達も同じ状況でしたから、これは団結して取り組まざるを得ない、という心境でした。紙の栽培履歴簿では、出し忘れてしまったり、つい後回しにしてしまい、溜めてしまうことがありました。そのため、栽培履歴の記入を効率的に行いたい、と考えていました。(生産者 佐藤様)

Q. (生産者様へ)あい作を導入したことで、どのような効果がありましたか?

栽培管理簿の記入が楽になりました。また、過去データを閲覧することで栽培管理上の判断にも役立っています

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栽培管理簿の記入が、圧倒的に楽になりましたね。スマホで入力できるから、薬剤を散布した直後にその場で記録できます。お陰で、紙の出し忘れや後回しにして溜めてしまうことがなくなりました。自前のメモ帳に記入しておいて、帰宅してからあい作に入力することもあります。それでも紙に書くより、遥かに楽ですよ。また、過去データを閲覧できるので、追肥する・しない、といった栽培管理上の判断をするうえでも活用しています。
実は、現在の「あい作 栽培管理ソリューション」の仕様に、私が出した要望が幾つか取り入れられているんですよ。作ごとに「定植から何日」と表示される機能や、薬剤名を入力すると「今作で何回使用したか」や「何日前まで使える」といった情報が表示される機能です。それもあって、とても便利に使わせてもらっています。(生産者 佐藤様)

Q. (生産者様へ)あい作を活用した今後の展望や期待していることをお聞かせください。

より良いシステムになるように、JA、NTTデータに声を届けたい

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GlobalG.A.P.認証をスムーズに取得できるように、JAとNTTデータに協力してもらったわけですが、私たち生産者は「やる!」と手を上げた立場。だから、あい作の導入直後から積極的に意見や感想を伝えて、少しでも使いやすくなるように、協力を惜しみませんでした。その甲斐あって、今では負担なくGlobalG.A.P.認証を取得できるようになりました。
ただ、より便利にしたい、という要望は今後も出して行きます。それが反映されることで、生産者は便利になりますし、長期的にはより産地が強くなるからJAにもメリットがある。あい作も、より良いシステムになって行くはず。JAにやってもらう、という受け身の姿勢ではなく、あくまでも前向きにあい作を活用して、提案を続けて行きたいです。(生産者 佐藤様)

この記事の内容は2023年10月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

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