ポイントで組合員メリットを「見える化」。
地域との接点を広げ、JA経済圏とデータ活用の未来をつくる

JA信州諏訪様
長野県の諏訪地域を事業エリアとするJA信州諏訪様は、組合員とのつながりを大切にしながら、新たな仲間づくりや地域との接点拡大に取り組む農業協同組合です。
その取り組みの一環として、従来のポイント制度の終了を契機に「あい作 ポイントロイヤルティプログラム」を導入。組合員メリットを分かりやすく伝える仕組みを整え、ポイントを起点とした組合員加入の促進や、将来的なデータ活用を見据えた取り組みを進められています。
TOPICS
課題背景:
組合員数が減少傾向にある中、従来のポイント制度では、利用者がポイント残高や付与状況を日常的に確認できず、組合員であることのメリットを実感しにくい状況にありました。
また、職員が組合員加入を案内する際にも、「組合員になると何が得なのか」を具体的に示す手段が乏しく、加入促進につながる分かりやすい仕組みが求められていました。
支援内容:
こ従来の全国共通ポイント制度の終了と組合員数減少という課題に対し、NTTデータは「組合員数の増加」「JA総合事業利用者の増加」という目指す姿を提示し、「あい作 ポイントロイヤルティプログラム」を提案しました。
JA信州諏訪様が重視する「組合員メリットの見える化」や「新たな組合員加入につながる仕組み」を実現するため、会員属性に応じてポイント付与へ反映できる仕組みや、スマートフォンからポイント残高・履歴を確認できる環境を構築。
全国のJAへの展開も見据えながら、共通化できる機能とJA信州諏訪様固有の要件を整理し、実際の運用に合わせた仕組みへと具体化しました。
主な成果:
- 正式稼働から3ヶ月で、アプリ登録数が約2,700件に到達
- 利用者とポイント履歴を紐づけて確認できるようになり、問い合わせや返品時の確認業務が向上
- 来店ポイントをきっかけに、利用者と店舗スタッフとのコミュニケーションが増加
- ポイント利用を通じ、今後の組合員加入分析やデータ活用につながる利用者情報の蓄積が進展
「組合員になると、何が得なのか」。
目に見えなかったメリットを、実感できる仕組みへ

JA信州諏訪様では、以前から職員一人ひとりが組合員加入を呼びかける活動を行っていました。
しかし、現場では一つの課題がありました。
「組合員になると、何が得なのか」
そう尋ねられたとき、職員が相手に分かりやすく示せる具体的な材料が十分ではなかったのです。
従来の全国共通ポイント制度では、貯金残高や購買実績などに応じてポイントが自動的に付与され、一定期間後にキャッシュバックされていました。
利用者からすると、いつ、何によってポイントが付いたのかを実感しにくく、組合員であることのメリットを伝える仕組みとしては十分に活かし切れていませんでした。
さらに、全国共通ポイント制度が終了することとなり、JA信州諏訪様では新たな制度の検討が必要になります。
そこで新しいポイント制度に求めたのが、単なる既存制度の代替ではなく、組合員であることの価値を目に見える形にし、新たな仲間づくりにも活用できる仕組みでした。
従来は組合員のみに付与していたポイントを、非組合員にもJAの利用に応じて付与する。一方、組合員にはより多くのポイントが貯まるメリットを設ける。
まずはポイントをきっかけにJAとの接点を持ってもらい、利用を重ねる中で組合員のメリットを知ってもらう。
JA信州諏訪様が考えたのは、ポイントを「還元するための制度」から「JAとの関係を育てるための仕組み」へと変えていくことでした。
課題から目指す姿を描き、
JA信州諏訪様ならではの仕組みへ
こうしたJA信州諏訪様の課題に対して、NTTデータが取り組んだのは、ポイントシステムそのものの提案だけではありませんでした。
従来の全国共通ポイント制度の終了と、組合員数の減少という二つの課題から、NTTデータは「組合員数の増加」「JA総合事業利用者の増加」という目指す姿を具体化。
その実現に向け、顧客管理SaaS「CAFIS Explorer」をポイントシステムの基盤とし、JA信州諏訪様の業態に合わせたスマートフォンアプリを構築することを提案しました。
JA信州諏訪様にとって重要だったのは、利用者自身がポイントを確認し、そのメリットを実感できることでした。
他の選択肢では、従来と同様にポイントの自動付与・自動キャッシュバックが中心となり、スマートフォンから自分のポイント履歴を確認することもできません。
一方、「あい作 ポイントロイヤルティプログラム」では、ポイント残高を好きなときに確認でき、QRコードの読み取りなど利用者自身のアクションによってポイントを貯めることができます。
JA信州諏訪様からも、こうした仕組みが自分たちの課題を解決するための有力な選択肢として評価されました。
ただ新しいポイントシステムを入れるのではなく、
「何のためにポイントを使うのか」
「組合員や地域の方に、どのような行動をしてもらいたいのか」
という目的から仕組みを考える。
両者の検討は、そこから始まりました。

スマートフォンからポイント残高や会員証を確認

店舗ではスマートフォンの会員証を提示して利用
共通の仕組みに、JA信州諏訪様ならではの考えを重ねる
もう一つ、NTTデータが設計時に重視したのが、JA信州諏訪様独自のニーズと、将来的なサービスの広がりを両立させることでした。
NTTデータでは、全国のJAへの展開も見据え、複数のJAで共通して利用できる部分と、それぞれのJAごとに必要となる個別要件を切り分けてサービスを設計しました。
そのうえで、JA信州諏訪様が目指す組合員拡大に合わせて、組合員とそれ以外の利用者を区分し、それぞれの会員属性に応じてポイント付与へ反映できる機能を活用。
組合員は非組合員よりもポイントが貯まりやすい仕組みとすることで、「組合員になるメリット」を具体的な数字として見せられるようにしました。
JA信州諏訪様側でも、制度をシステムだけの取り組みにしないため、組織内での検討を進めました。
以前から存在していた「ポイント利活用研究会」を改めて動かし、各事業部門や支所を巻き込みながら、どの事業で、どのようにポイントを付与するのかを検討。
事業ごとの要望を反映しながら付与基準を整理し、ポイント施策そのものを中期経営計画にも位置づけました。
システムを担うNTTデータと、組合員や地域との接点を担うJA信州諏訪様。
それぞれの知見を持ち寄りながら、「使えるシステム」をつくるだけでなく、「組織として動かし続けられる制度」へと形にしていきました。
「見える化」から、「加入につながる武器」へ

制度設計を進める中で、ポイントの役割も少しずつ広がっていきました。
当初の大きなテーマは、既存組合員にとってのメリットを分かりやすくすることでした。
そこから、非組合員にもまずポイント会員としてJAを利用してもらい、その先の組合員加入へつなげていくという考え方へと発展していきます。
新たな制度では、組合員へのポイント付与率を非組合員の5倍に設定。さらに、新規で組合員に加入した方には2,000ポイントを付与するなど、「組合員になると何が違うのか」を具体的に伝えられる設計としました。
これまで職員が組合員加入を案内するときには、「加入してください」と呼びかけるだけで、具体的なメリットを示す材料が十分ではありませんでした。
ポイントという目に見えるメリットが加わることで、
「組合員になると、こういうメリットがあります」
と具体的に説明できる。
ポイント制度を、組合員加入を後押しするための一つの「武器」にしていくことも、この取り組みの重要な狙いです。
正式稼働から約3ヶ月。
想定を超える登録から、次の課題が見えてきた
登録数は約3ヶ月で2,600~2,700件に到達。想定を上回るペースで利用が広がりました。
一方、登録が集中したことで、スマートフォン操作やアプリ登録に関する問い合わせも増加。店舗や支所で個別に登録を支援するなど、実際に運用を始めたからこそ分かった課題も見えてきました。
また、スマートフォンを利用しない方への対応や、店舗ごとの案内方法・運用ルールの整理など、地域に定着させていくために取り組むべきテーマも明確になっています。
仕組みをつくって終わりではなく、実際に使われることで生まれた声を、次の改善につなげていく段階に入っています。
ポイントを貯める場所から、
地域とのつながりが広がる場所へ

現場では、小さな変化も生まれ始めています。
田中線センターでは、来店ポイントのQRコードをお客様から声をかけていただいてから提示する運用となっており、「お客様とのコミュニケーションが増えた」という声も聞かれました。
また、これまでのポイント制度では確認できなかった利用履歴を、利用者情報と紐づけて確認できるようになったことも変化の一つです。
店舗では、いつ、誰が利用したのかを確認できるようになり、必要な際に履歴を確認できる環境が整いました。
一方、現時点で登録している方の中心は既存の組合員であり、ポイントによって新規組合員がどの程度増えたかについては、これから分析していく段階です。
まずは制度を知り、使ってもらうこと。
そこから次のステップへとつなげていきます。

ポイントの先に描く、JA経済圏とデータ活用の未来
JA信州諏訪様が目指しているのは、ポイント会員を増やすことだけではありません。
現在は、農業祭でのQRコードを活用したポイントラリーなどを通じて、組合員だけでなく、その家族や地域住民にもJAとの接点を広げる取り組みを進めています。
ポイントをきっかけにJAを利用してもらい、組合員になるとさらにメリットがあることを知ってもらう。
そして利用者が増えれば、これまで十分に把握できなかった直売所の利用者情報や利用履歴も、少しずつ蓄積されていきます。
そのデータを活用し、将来的には利用者の属性や行動に合わせて、共済や信用事業を含むJAのさまざまなサービスを必要な人へ届けていく。
「まず利用者を増やす。データを蓄積する。そして、必要な人に必要な情報を届ける」
ポイント制度は、そのための土台でもあります。
導入して終わりではない。
現場の声とともに育てるポイントロイヤルティプログラム

正式稼働によって利用が広がる一方で、スマートフォンへの対応や店舗運用など、新たな課題も生まれています。
こうした課題が出てくることも、NTTデータは正式リリース前から見据えていました。
NTTデータでは、サービス開始後も新たな改善点やサービス拡充の要望が生まれることを想定し、継続して支援していく考えを示しています。
また、JA信州諏訪様からも、全国のJAの基盤システムなどに携わり、JAの事業を理解するNTTデータに対して、こうした仕組みを通じて今後も共に成長していきたいという期待が寄せられています。
「あい作」は、食と農に携わる皆さまと一緒に、より良い地域コミュニティを構想し、創造していくプロジェクトです。
その考え方は、ポイントロイヤルティプログラムでも変わりません。
JA信州諏訪様とNTTデータは、新しいポイント制度を完成されたものとして捉えるのではなく、実際に利用する組合員や地域の方、現場で運用する職員の声を受け止めながら育てていきます。
組合員メリットの「見える化」から、新たな仲間づくりへ。
そして、地域との接点から蓄積されるデータを、より良いサービスへ。
ポイントから始まった取り組みは、JA信州諏訪様が目指すこれからの地域との関係づくりへと続いていきます。




